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設立の趣意
今日わが国は経済力、科学・技術の面で国際社会をリードする国として、きわめて重要な地位を占めるにいたりました。
そして今後は、21世紀へ向けて、自らのさらなる発展を図ると共に、その地位にふさわしい全地球的、グローバルな視点をもって、その役割を果たしていくことが強く求められております。
また、現代において科学技術は人間存在そのものへの係わりを深め、社会の科学技術に対する依存度はますます高いものとなっており、この傾向はさらに進むものと思われます。
わが国は従来、ややもすると「遊び=罪悪」「勤労=善」という様な固定した社会規範の下、その持ち前の勤勉性で、世界をリードする工業国としての地位を確固たるものとしてまいりました。しかし今日、わが国と他国との間に様々な形の摩擦が生じていることは周知のことであり、ここで我々は「ゆとり」あるいは「豊かさ」の意味を問い直し、"遊び"の本当の意義に思いを致すことが極めて重要となっております。
また、わが国は世界に前例のないスピードで高齢化が進んでおり、それに伴う脳の機能障害が社会的にも大きな問題となりつつありますが、"遊び"が高齢者の脳の機能維持あるいは障害の予防・回復に大きな可能性を秘めていると言うことができましょう。
「人間文化は遊びのなかにおいて遊びとして発生し、発展してきた」(ホイジンガ「ホモルーデンス」)とも言われているように、"遊び"は本来人間文化に大きな係わりを持ってきたものであります。わが国が高度に発展させてきた科学技術を、"遊び"をキーワードとする新しい文化のパラダイムへと昇華させ、これによって国際社会における摩擦を縮少し、心身共に健康な個人を、豊かで活力ある社会を築き上げることこそ、今後わが国に課せられる大きな使命と言えましょう。
このような情勢に鑑み、中山隼雄科学技術文化財団を設立し、「人間と遊び」という視点に立った科学技術の調査研究、研究開発への助成、学会・研究会などに対する助成および国際交流への助成などの事業を行い、より広く社会文化の発展と人類の福祉の増進に貢献することといたした次第であります。
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